学名は、平凡社『日本変形菌類図鑑(1995年7月19日初版第1刷発行)』より
2000年は粘菌を見つけようと思ってたらこれです。驚きました。
1999年10月17日に、和歌山県白浜にある南方熊楠記念館で粘菌の標本と生体を見せてもらい、非常に感激してました。粘菌そのものは1年中いますが、活動が盛んなのは梅雨時(梅雨の晴れ間や梅雨明け時)だろうということで、そろそろ明石公園あたりで探してみようと思ってたところでした。
10日に更新するWebpageの用意も終わり、風呂を洗おうとした6月9日20時半。窓のサッシの隅になにやら黒っぽいものが積み重なっているのが見えました。腐った木のかけらかなと思いましたがペンキの塗られている木枠には特に壊れたような様子もありません。
よく見ると細長い円柱が集まっているかのようになっています。根元は糸のように細くなってます。もしかしたら虫の卵か?! というのが二番目の推測でした。
ただよく見ると…… なんか写真で見たような記憶がある…… というところで「粘菌」の二文字が頭の中に。早速調べたところ、南方熊楠記念館で買った、12枚組み絵葉書の中にそっくりなものがありました。高さ約15mmのサビムラサキホコリでした。また、現在休刊中の科学雑誌Quarkの91年11月号の南方熊楠特集の中にあった、胞子形成が進み黒ずんでいるサビホコリの写真が、これによく似ています。
風呂場です。汚いですか、そうですか。壁面で緑藻を飼っています。嘘です。掃除するのが面倒なだけです。たまにスポンジでこすり落としてますが……
画面左上に白い円を描いておきました。ここに「粘菌?」がいたわけです。
それが粘菌かカビなのかを判別する方法の一つとして、子実体(のような部分)を潰してみるという方法があるというのを、記念館に行ったときに教えていただきました。何か残ればカビ、なにも残らなければ粘菌なんだそうです。粘菌の場合は中に胞子しかないので、潰すとほとんど何も残らないのだとか。
今回、カビではなさそうでしたが虫の卵かもしれないという思いがありました。そこで、この長細くて黒っぽいモノを一つピンセットでとり、紙にこすって見ることにしました。卵なら中から白っぽいものがムニュと出てくるだろうとの予想をたてたわけです。
結果は画像のとおり。かなり黒い紫色の跡がついただけでした。卵ならこういう風にはならないと思うのですが。
粘菌は変形菌と呼ばれることのほうが多いらしく、実際、形状を変化させます。胞子が増殖、分裂したりしたのち、時速数cmで動き回る変形体となり、バクテリアやカビ、微小藻類などを食べるそうです。この変形体は複数の核を持つ単細胞だそうで。それがある日一気に胞子を飛ばすための子実体に変形、胞子を撒き散らしていくんだそうです。
で、今回発見したものはどうみてもすでに子実体の状態。変形体のときを見れなんだあ!というのが残念ではあります。ただ、いま風呂場で胞子を撒かれてもちょっと困るというか、できればベランダに出しているプランターとかで育ってほしいぞというのがあるので、粘菌(?)を剥がすことにしました。
粘菌(?)がくっついている木枠(白の塗装がしてあり、緑藻がわいている)の部分と、アルミ枠との間に塗られているシリコンの部分をカッターナイフで切り取りました。アパートをこういう風にしていいのかという思いが頭をよぎったのは木枠の表面を削ぎ取っている途中でしたので時すでに遅し。どうもすんませんです>大家さん
剥がしてみたところで長さを測ってみましたが、12mmというところでした。
2ヶ所あったかたまりのうち、一つはモウセンゴケを育てている水槽の中に入れておきました。もう一つはコーヒーのビンに入れています。
200円でおつりのくる30g入りの小さなビンで、熱湯で洗ったあとにプランターの土や枯れ葉を入れ、その中に粘菌(?)を入れています。通気性があるようにビンの口はガーゼ…… がなかったのでシャツの切れ端を輪ゴムで止めています。
これがもし粘菌であれば…… 胞子を出して、子実体そのものは終わってしまうと思います。その後すぐ胞子が芽を出し育ってくれれば…… 非常に面白いものが見られるかもしれません。
でもやっぱり変化無し。紙製の箱に移しておきました。
その後、明石公園の切り株で多くの同じモノを見つけています。梅雨明けに確認してますが、2000年11月4日にも確認しました。雨が続いた後、夏のような気温になった頃です。
見つけたときはすでに子実体になっていましたが、11月に見たときにはまだ錆のような色になっておらず、薄い紫色で全体が粘液に覆われているようにてらてらと光っていました。
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