オニバス

情報

オニバス画像

和名
オニバス
学名
Euryale ferox Salisb.
漢字名
鬼蓮
撮影年月日
1999年9月1日
撮影場所
兵庫県明石市内の溜め池
1年生の水草。生息地激減中

学名は日本水草図鑑 文一総合出版(1996年4月20日 第2刷発行)より

怪説

最初の写真について

画像、でかい葉がオニバスの葉です。周りの植物はヒシです。

日本で最大の水草、オニバスです。最大と言っても葉の面積が東京ドームの1.5倍とかそういう訳ではないですが、葉の直径の日本記録は2.7m(富山県氷見市十二町潟)だそうです。やっぱりでかいです。

オニバスと言うと思い浮かべるのが、葉の周囲が塀みたいに立ち上がり、子供が乗っても大丈夫と言う写真で知られる植物ですが、あれはだいたいオオオニバスという植物です。私も勘違いしてました。

オオオニバスは南米の植物で多年草ですが、オニバスはアジアの植物で日本にも自生しており、1年草です。要は種が発芽して葉が出て種が出来て枯れるまでのサイクルが1年という事です。

普通のハスの葉と比べるとオニバスの葉は棘が生えてたり、なにやら凄まじい模様がはいっているのでわかりやすいです。

写真その2

葉上記の画像はより大きいオニバスの葉。直径は40〜50cmというところでしょうか。まだ大きくなると思ってます。

ところでこのオニバス、絶滅危惧種だそうです。自生地が減っているわけですね。日本でここ数年で生育が確認できてるのは100ヶ所程度とか言われているそうです。多いのは四国の香川県、ついで兵庫県(主に瀬戸内側)、福岡県等。現在最大の産地と言われているらしいのが兵庫県明石市の大池とのことです。同じ名前の池は他にもありそうですが、この池は道を挟んで隣に江井島(えいがしま)中学校があるので、地図等で確認しやすいと思います。ちなみに上記の画像は大池のものではありません。

茎はアク抜きをすれば食べられるそうです。ただしこのオニバス、ごついトゲが生えているので調理には十分注意が必要との事です。私はまだ見たことがないんですが、調査などをしている方の話によると、厚いゴム手袋くらいでは貫通してしまうので、厚手の皮の手袋の上に厚手のゴム手袋をして触っているんだとか。

このトゲや、オニバスが池一面を覆うと水の蒸発が増えて水位が下がる(蒸発が減るもんだと思ってたが違うのね)、酸欠になって魚が死んで悪臭が出る、等で、溜め池の水を管理している方にとっては歓迎したくない植物のようです。水の少ない地域で田んぼに水を流すため溜めている池で水位が勝手に下がってしまっては死活問題でしょうから。

ただ、植物の生育地が減ってきているのは確かなので、新潟県豊栄市福島潟、富山県氷見市十二町潟、千葉、愛知、茨城、京都等で保護活動がなされているそうです。

関係ない話ですが、この画像の撮影中、妙な鳴き声を聞きまして。なんじゃこりゃと思い辺りを見回してみると、なんとこれが黒っぽい体に赤いくちばしの水鳥が1羽! 大きさはカモくらいでしょうか。

あとで調べてみると、ほぼ間違いなく鷭(バン)という鳥でした。なかなか可愛い鳥なので鳥の図鑑などありましたら是非見てみてください。デジカメで画像も撮りましたが、案の定、点くらいにしか写ってませんでした。ズーム付きのがどっかに落ちてないか〜! ついでに後日、ヌートリアらしき生き物も多数発見。いかにも人懐っこそうな顔して、手で顔をこすりながら、蓮の葉の間をぬってどこかへ行ってしまいました。

写真その3

オニバスのつぼみ1999年9月9日撮影。葉を破ってなにか飛び出してます。これがオニバスのつぼみです。

花はあまり咲かず、どっちかというと閉鎖花(花びらが開かないままで受精する)が多いようですね。そういうのは水中で結構見かけます。画像のは葉を破って出てきて花びらが少し見えたので花が咲くかと思ったんですが、2週間たってもこのままでした。

写真その4

オニバスの葉が出てくるオニバスの葉が水中から出てくるところです。ある程度大きくなったオニバスは、クシャクシャに縮んだ状態で葉を出し、水面に広げるようです。

写真その5

靴と葉の大きさの比較葉に靴を乗せてみました。28cmの革靴です。だいたいの大きさがわかるかなってところです。この池にはこのくらいの大きさの葉があちこちにありました。

靴程度なら葉は沈みません。赤ん坊程度でも大丈夫かな? トゲが刺さらないようにすれば、の話ですが。子供くらいになるともう無理ではないかと思います。寝そべればなんとかなるかな? 私くらいでは絶対無理そうです。

写真その6

オニバスの葉のトゲ葉に生えているトゲです。葉を少しむしってこの画像を撮りましたが、その時トゲで指を刺してしまいました。あっという間に血がプーッと出てきました。痛かったよ。

画像の上が葉の表側ですが、裏側にもトゲが生えてます。非常にするどく、大きいです。もっと太いトゲもありました。バラのトゲが可愛く思えてしまうくらいです。

写真その7

2002年8月25日撮影。明石市大久保町江井島で開かれたオニバス観察会で展示されたオニバスの葉です。中央の大きな葉は裏側を向いてます。表面は緑色ですが裏面は赤紫。そこに淡い黄緑の葉脈(?)がはしってます。気色悪いというか気色いいというか。

右側に亀の子たわしのような想像力を働かせるとアレにみえなくもない黄色っぽいモノが見えてますが、これは展開前で丸まっている葉だと思います。

写真その8

葉脈(?)の拡大画像。まるで分厚い壁のように立ち上がってます。触ってみたんですが、かなり空気が入っているようです。ブチブチ言いながら潰れていきました。いやなんか潰してみたい欲求にかられたもんで。この壁のような葉脈(なのかな?)のお蔭で、直径1mを軽くこえる葉が支えられているんでしょう。

あと、トゲがはえているのもわかると思います。葉や茎や蕾の表面など、ありとあらゆるところにトゲがはえてます。さすが鬼と言われるだけあります。

写真その9

2002年10月2日撮影。ため池の水が抜かれつつあり、触れるところにオニバスがあったのでひっくり返してみました。左に移っている手から、葉の巨大さがわかると思います。

写真その10

葉の表面の様子。くしゃくしゃしているので展開途中の葉なのかもしれません。表面のトゲが写っていますが、すべて中心から外側を向いてました。

写真その11

展開前の葉。丸まっていて、鬼のげんこつみたいな感じです。本物の鬼のげんこつは見たことないんですけど、こんなような感じなのかもしれません。

写真その12

葉から出ている茎の断面の近接写真画像です。1600*1200で撮影した画像をトリミングしてます。まるでレンコンのような穴があいてますね。また、茎の表面にトゲがびっしりはえているのも判ると思います。

写真その13

閉鎖花の画像。2個並べたらパンドンの頭みたいな感じになってたかもしれません。パンドンってのはウルトラセブンの最終話で出てきた怪獣なんですのよ。

これもまたトゲがびっしり。実際に見てみると、色の具合のせいか柔らかそうな感じがしたんですけど、やはり痛かったです。茎にも小さなトゲがはえてるんですが、これもそこそこ痛かったですよ。

2005年3月5日追記。この画像、元の1600*1200画像を縮小しトリミングし直したものをWikipediaにアップロードしてます。

lf-x1@coomaru.com
公開:1999年??月??日
更新:2005年3月5日
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