ヤマト1

情報

ヤマト1画像No.1

和名
ヤマト1
種類
超電導電磁推進船(Superconducting Electromagnetic Propulsion Boat)
撮影年月日
2002年11月7日
撮影場所
神戸海洋博物館屋外展示場

怪説

最初の写真について

「陸にあげられた船に意味はあるのでしょうか」という事で死にモノのところで公開してみようと……。

メカフェチの気がある私としては、超電導電磁推進船ヤマト1という船があることくらいは知ってました。まるで水上バイクのような面白い形は科学雑誌などでも見ていました。しかし、2002年11月7日の早朝にSぱらインターネット分室不浄に日記11月6日分を読むまでは、あの船が神戸にあるなんて全く知らなかったのでした。ヤマト1は神戸で造られ、神戸港で試験航行をしたなんてことはそれこそ想像もしたことがなかったのでした。

という事で、7日は神戸の職安に行くついでにヤマト1を見に行く事に。引っ越しした後で、住んでいた近場に面白いところがあったことに気づくなんてのは今までにもよくありましたんで、なるべくなら思い立ったらすぐ行くようにした方がいいなと思いまして。

職安ではものの5分程度で用が済んだので、その足で神戸海洋博物館へ。まずはポートタワーに着き数枚写真を撮った後、ふと東側を向くと木々の間からメタリックグレーの異様な物体が。「想像してたよりでけぇっ!」というのが最初の感想でした。

写真その2

くさび形の船首。それこそSF漫画くらいにしか出そうになかった姿です。船首から船底へと伸びるラインが美しいです。

写真その3

右舷前方から見たところ。超電導電磁推進装置と海水ダクトが収まる膨らみが見えます。膨らみの前には海水を取り入れる穴があいているのが見えると思います。

超電導電磁推進。なんというか、SFやらメカ好きな人にとっては少々くたびれた古い言葉のようにも聞こえるかもしれません。でもここにあるのは空想の世界の産物じゃなくて本物。本当に動いていたもの。いろんな失敗や研究やらを重ね、さまざまな人が関係し、働いてできたもの。妙な重みがあります。

生まれるまでには、そしてもしかしたら今でも、ドロドロしたものをひきずったりしてるのかなぁとか思ったりするんですが、本当にこれが良いものならば、どんどん発展させてほしいです。

写真その4

真正面から見たところ。海面に対して水平になっている甲板が見当たりません。船首の底は普通の船のようになってますが、船尾に向かうにつれ平らになります。そして両側に2つの超電導推進装置が収まる膨らみが出てきます。

船を支えている鉄の土台ですが、左下に黒いのが見えると思います。これは猫です。土台や船が結構大きなものだというのが分かるかなと思いましたがこれでは判りにくいでしょうね〜。

写真その5

船尾。「ヤマト1」「神戸」と書かれた赤い文字が見えます。排気口らしきスリットが何ともいえずアニメチックな感じがしました。上に監視カメラのようなものがありましたが、あれって陸揚げされてからつけられたのか、航海のデータを取るために最初からあったのか少々気になります。

まん中に移っている女性は単なる通りすがりです。船がでかいというのが分かりますか?

ヤマト1の全長は約30m、幅が10.4m。全長は新幹線が1両25mくらいなので、それよりも長いんですね。自動車で言うと私の愛車デミオが全長3.8m。8台並ぶとちょっとはみ出るという感じです。幅はというとデミオが約1.7m。6台が余裕で並びます。

写真その6

船尾の排水口と舵。スクリューがないというのが面白い。

写真その7

左舷側の海水の取り入れ口。ここからダクトに入った海水は超電導電磁推進装置に入り、運動エネルギーを与えられて後方へ噴出します。レールガンと同じくフレミングの左手の法則の応用です。……なんて書いてみても雰囲気で分かったつもりになってるだけなんです私は。

前方から海水を入れて後方へ吐き出すといえば、思い出されるのが小説「レッド・オクトーバーを追え」にでてくるタイフーン級7番艦レッド・オクトーバー。「キャタピラ」と名づけられた推進装置により、従来のスクリューによる推進よりも無音に近い状態で航行することが可能になった、ソビエト連邦海軍の最新原子力潜水艦です。ただしこの「キャタピラ」、小説ではどのような推進装置なのかよく書かれてませんでした。アメリカの計画「トンネル推進」の事を話すシーンがありますが、それはトンネルの中に羽根車を入れ、それを回して推進力を得るというもので、超電導とは関係なかったです。映画版ではどう説明されてたか記憶にないのですが……。

写真その8

操縦室すぐ後ろのハッチ。L型レンチみたいなのが6本出てますが、どのような働きをするんでしょう……? 

写真その9

通路を隔てて船の後方で展示されている、超電導推進装置とその中に入っている超電導コイル。ヨーヨーとか竜巻とかスピンじゃないんですね。実験、研究用として開発されたものと書かれてましたので、船に積んであるものではないようです。船のはもっと大きなものなんでしょうか。取り合えず外観がなんというか、18世紀のボイラーって感じでした。

写真その10

ポートタワーへと通じる通路から撮ったもの。このように屋外展示されています。神戸海洋博物館は入場料として大人600円いるんですが、この屋外展示は無料で見ることができます。ヤマト1の向こう側にテクノスーパーライナー「疾風」が展示されており、画面左には復元された帆船「サンタマリア」が展示されてます。右手にみえる妙な建物は神戸メリケンパークオリエンタルホテル。あと、画面下から左手に向かって黒いのがぞろぞろと写ってますが、見学に来てた学生です。たぶん中学生くらいと思います。

写真その11

「ヤマト1」を紹介しているページがいくつかあったんですが、最初に参考した2つのページで公開されてた画像は似たようなアングルで撮られてました。でもって私が撮ったヤツにもほとんど同じアングルでとらえたものが……。

私の場合は単に「このアングル、かっちょええ〜(格好いい)」と感じたので撮ったんですけど、他のかたはどういう想いで撮影したんでしょうか。真横だとなんとなく巨大淡水魚のピラルクを思い出してしまうのでした。とはいえこの斜め前からの見た目も、長いヒゲを2本つけたらナマズみたいだとも思ったんですが。

というかやっぱりスタートレックに出てくるシャトルという方がぴったりくるかも。実は超電導電磁推進装置の代わりにワープドライブとかが載っかってて、いざという時にはここから直接宇宙へすっとんでいくのかもしれません。すーっと10mくらい上昇して180度回転しながら船首を斜め上に向けて上昇していきそうな感じ。

仕様

説明板に書かれてあったスペックなどを書いてみます。

全長
約30m
10.4m
深さ
2.5m
計画満載喫水
1.5m
総トン数
約166トン
最大速力
約8ノット(時速15km/h)
定員
乗員3名、他7名

最大速力8ノット。そこそこゆっくり歩く人の4倍程度ですね。自動車だと、駐車場内など狭い範囲内でしか出さない速度です。漁船はどのくらい出るんだろうと調べてみたら、シベリア抑留物語 第2章 ソ連監視船あらわるというページで10ノット位と書かれてました。とりあえず実験船だからこれはこれでいいんでしょう。

電気分解によるガスの発生や効率の問題などいろいろあると思います。100年後にこのような船があちこちの海を走ることになるのかどうか……。

リンク

ヤマト1の画像があったりするページの紹介なんぞを。

ハイテク船舶
中川友雄さん
ナカガワ ノ ヘヤの1コンテンツ。他にも航空機や3DCGに関する話があります。いろいろと話題のMorphyOneのイメージ画像もあったり。X68000のコナン氏作キーボードアダプタのようになるのかどうか。
超電導電磁推進船ヤマト−1
三菱重工業株式会社 神戸造船所のページにあったもの。神戸港を航行中の横からの画像と、(たぶん)推進装置の画像があります。
シップ・アンド・オーシャン財団:事業紹介
シップ・アンド・オーシャン財団のページ内にあったもの。神戸港内を航行する、やや斜め前からの画像があります。

文書更新履歴

2006年9月19日
下品だった文書の一部を削除。
lf-x1@coomaru.com
公開:2002年11月11日
更新:2006年9月19日
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