
というわけでビオトープです。一時期この言葉が乱用されてた時期もありますね。いや今も変わらないか。池を造成し個体数が激減していて保護が叫ばれている植物や動物を入れればビオトープだなんてのもあるようで。ケナフを植えれば自然保護、地球を救ったことになるだなんて言うのと同じくらいのデタラメが横行しているようです。
このビオトープは埋立地の下水処理施設の敷地内に設けられています。人が自由に入れる人里のようなビオトープ1(2500m2)、人が立ち入らない聖域としてのビオトープ2(4800m2)、及び展望広場からできています。1998年3月30日オープン。
池や川には水温が高く窒素やリンなどが多く含まれている処理水を使っていたりするので批判などあるようですが、少なくともないよりはましと思います。少なくとも生物にあたっては基本的に近隣の生物を使っているそうです。
ビオトープ1には池が3ヶ所ありますが、最初の画像はそのうちの一番大きなもの。池の南側半分が写ってます。
2つの池の間に掛かっている橋です。3ヶ所の池は繋がっており、池3の水面にある排水溝から排出されていました。なおここに使われている石や木材等には旧市電の敷石や間伐材などを利用してるそうです。
池1と2の間は短い川で繋がっています。生えているのはセリだと思います。クレソンじゃなかったと思いますが、クレソンも生息が確認されているそうです。
立ち入り禁止の場所。黄色はおそらくセイタカアワダチソウだったと思います。中にはトンボの池と野鳥の池があるそうで、画面にも池が少し写っています。どっちの池かな?
すでにお呼びでない生物も入り込んでいます。自分で来たのではなく人間が持ちこんだんでしょう。画像はアメリカザリガニです。白くて丸いのはちくわ。
すでにブラックバスやブルーギル、カダヤシ、金魚、鯉等もいるようです。というか確かに金魚はいました(緋鯉かも?)し、カダヤシらしき魚もいました。
すでに水草のうちコウホネ、スイレン等数種が壊滅状態にあり、ヤゴもほとんど見ないとか。原因はアメリカザリガニらしい……。
しかしブラックバスを放す奴ってこんな狭い池にも放すのね。
ザリガニ釣りに来てた子供たちと保護者(たぶん)の方。ちくわや魚の切り身で5,6匹釣ってました。他に金魚も釣ってたような。ザリガニは釣るのが面白いので、後はまた戻すんだとか。そりゃそうだわなぁ。釣るのって面白いしなぁ。アメリカザリガニなんて食っても泥臭そうだし(食ったことないから実は判りませんが)、戻すしかないわなぁ。基本的に無駄な殺生はやめましょうなので殺すのも可哀想だし。
この子たちのやってることも悪いところなんて全然ない。実際楽しそうだったし、私もやりたかった。もちろんアメリカザリガニが悪いわけでもない。ここにアメリカザリガニやブラックバス、金魚等を放した奴が悪いのです。
一回放流してしまうとなかなか捕まえられない。ザリガニは泥の中にもぐってしまいますしね。この池等は業者じゃなくて市民の方が作ったんだそうです。それらの努力が外来種の導入で全部パァになってしまってます。
……全部パァというのは言い過ぎかもしれません。駆除もいろいろやってるそうですし。数年、数十年先どうなるかというのが大事とは思います。が、やっぱり釈然としないモノを感じます。
注意の看板とかあるんやから、わざわざアホな事はしたらあかんって。
この辺、生態学的な混乱ってのはわかると思います。外来種を持ち込んだらどうなるか。アメリカシロヒトリに食われた街路樹を知っている方もいるでしょう。今のところ防がれているミバエ(蝿の一種)の類いが入ってきたら日本の柑橘類は全滅するかもしれません。ブラックバスは池や湖にすむ生物の種類を減少させています。アメリカでも日本では普通に居るイソガニが確認され、漁業や養殖業などに影響を与える恐れがあるようです。海水アクアリウムをやった方なら判ると思いますが、カニって食欲旺盛ですからね〜。
ただ、未だに私には遺伝子的な混乱をうまく説明できません。たとえば東日本のメダカを西日本に放流してしまうってやつ。やっちゃいけない事は判るんですが、納得行かない方、特に生き物に非常に興味を持っている以外の方へうまく説明できないのです。この辺の問題はまた後に書くと思います、って前にも某所で書いて顰蹙買ったな…… 尻馬と言われた時は呆れましたが。
池の周りにある杭の断面に生えていたキノコと思います。たぶん食えないような気がする。
いろいろと面白い処なので近所の方は行ってみるといいかもです。
当然ですがゴミの類いは持ち帰りましょ。あと決して生き物を余所から持ってこないように。
このページを公開していたあと、2002年7月にここで活動している団体の方から会へのお誘いのメールを頂き、スタッフとして参加していました。ただその後いろいろありまして、2003年3月1日に退会のメールを送っておきました。
ここに書いている文章及び写真は、会のスタッフの立場として書いたもの、もしくは撮影したものではない事を記しておきます。
2004年1月16日撮影。人が立ち入ることのない聖域として造られていたビオトープ2の場所が工事されていました。
生物の専門家ではない私が感じることは、すでに「ビオトープ」という単語は商売用語と化しているように思われるということです。何かで「ビオトープ」という単語が出てきても、どうせ園芸(ガーデニング)や親水公園や箱庭、アクアテラリウム(陸地を備えた水生生物の飼育水槽)といったものと変わりないものなんだろうと、最初から疑った目で見てしまいます。園芸や親水公園などを否定してるわけではなく、本質的に変わりないものに違う名称を付けるのは胡散臭いって言いたいだけです。
「ビオトープ」に関する文章でも様々なものが公開されています。
躍らされる造語ビオトープや
今あるものを大切にといった文章があります。
ここの池はザリガニで有名なのか、釣りに行ったという人の話もあったりします。そこにいるんだから、釣ること自体は誰もなにも言えない事と思います。ただ、本来いるはずのない、創造時に連れてきているはずのないアメリカザリガニがいるという事は、すでにビオトープと呼ぶには不適当なところじゃないかと思っています。
1997年に神戸市により市民参加のビオトープの企画が持ち上がり、専門家や市職員、市民の協力を得て1998年に公開された「恋人岬ビオトープ」。作ったのは市民ですが、壊したのも市民なのかもしれません。この先再生されるのか、普通の公園になるのかは判りません。
それともビオトープなんてのは一部の人間を除いて誰も必要としてないんじゃないか、なんて思ってもいます。必要とされているのはビオトープじゃなくてアメリカザリガニを釣れる池なのかもしれない。雑多な生物が住む空間より、望む生物のみがいる空間。地味な生物や一見気味悪く見える生物より、綺麗な生物や可愛い生物。
変な例えを出します。この文書、WWWで公開しているHTML文書です。HTMLってのはハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージの略で、W3Cという団体により、どんな環境からもWebの情報を利用できるようにすべきだという方針の下に開発されて
います。HTML4.01仕様書邦訳版にその辺のこと載ってるから一度読んでみるといいですよ。
どんな環境からでもっていうのは、例として示されているけど音声入出力機器なんかも入ってます。HTMLってを正しく理解してきちんと書けば、いろんな機器で扱う事ができます。
ところが実際には、HTMLの誤った使い方が横行しています。マイクロソフトの Internet Explorer でいかに見栄えよくなるか、かっこいいレイアウトになるか、それらについて教えるウェブサイトがあり、実践しているウェブサイトがあります。
ビオトープの現状とHTML文書の現状ってのは、本質を無視した考え方やモノが広く浸透している点で非常に似ているように思います。
「ビオトープ」と呼ばれるモノについていろいろと考えさせられるきっかけになったのは、2000年10月28日、兵庫県明石市の西部市民会館で開かれた会議「水辺フォーラム'00 『ビオトープ』と水辺の再生――その功罪を考える」でした。ちなみにこのページの最初のほうの写真は、会議の日の午前中にこの地の見学会があり、それに参加して撮影したものです。
この時資料集として配られた冊子の中にある一つの論文「ドイツにみる自然と共存するまちづくりとその日本への展開」は大変勉強になるものでした。元は、社団法人大阪生活衛生協会の機関紙「生活衛生」1999 Vol.43 No.5に掲載された論文らしく、この論文についての著者から読者への言葉というのが公開されています。個人的には論文そのものが公開されたら大変参考になるのになと思っているのですが。